書評:CFO思考-日本企業最大の「欠落」とその処方箋

書評

CFOが関与する10の責任領域

1.経理

2.予算

3.税務

4-1.財務(負債)

4-2.財務(資本)

5.リスクマネジメント

6.DX

7.人的資本経営

8.コーポレートガバナンス

9.IR

10.経営戦略

特に印象に残ったポイント

アニマルスピリット

→本書の中で何度も繰り返し言及される「アニマルスピリット」。金庫番のような経理部長上がりのCFOではなく、経営陣の一角たるCFOであるべきと。また、リスクをとって事業に挑戦するようなリスク選好度合いを上げるべきという文脈でもよく出てくる。言葉自体はケインズが「雇用・利子および貨幣の一般理論」で用いたもので、経済活動にしばしば見られる主観的で非合理的な動機や行動を指しているもののよう。

株主至上主義とマルチ・ステークホルダー主義

→ビジネス・ラウンド・テーブル(米国CEOたちの協議会)が「企業のパーパス」に関する新たな方針を公表。「顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの利益のために会社を導くことにコミットする」という考え方を2019年8月に明らかにしている。もはや株主至上主義は時代遅れ。

CFOに求められる資質

・CFOはCEOのビジネスパートナーであるべし

・CFOはCEOの最大の批判者であり、かつ最大の支援者であるべし

・CFOは会社の健全性を守る最後の砦であるべし

・CFOは「リスク」と「資本」と「収益」を三位一体にとらえてマネジメントする役割を果たすべし

・CFOは内外のステークホルダーに対しる最良のスポークスマンでるべし

所感

・著者は、どちらかというといわゆる財務経理の仕事とされている予算、決算、資金繰り含む財務ではなく、IRや経営計画(企画)に比重を移すべきというのが全体的な主張のトーンと感じた。DXで経理の仕事が減る中ではそれは自然な発想だし、Agree。

・一方で、最後の砦としての機能を担っていることの重要性の説明が不足しているとも感じた。その役割があるからこそ、CEOやCOOと役職が分かれている理解なので、優先順位はそちらが先に来るべき。一概にリスクテイクを促進するような方針を推すべきというトーンでの説明は、少し違うのではと思った。

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